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不妊症とは

 赤ちゃんを望みながら普通の夫婦生活を2年続けても妊娠しない場合を不妊症といいます(日本産科婦人科学会)。
アメリカ不妊学会は1年の不妊期間をもって不妊症と定義しています。
これは、治療を受けない場合、1年目の自然妊娠確率が
80%に対し、2年目の妊娠確率が10%、3年目以後では妊娠
確率はさらに低くなってしまうからです。
 わが国では
10~15%の夫婦が不妊症であると言われています。

*年齢因子
 
最も妊娠しやすい20歳代では、排卵時期の性交渉による妊娠率は25%程度です。一般に、年齢が上がるほど妊娠率は低下し、30歳を超えると毎年3.5%ずつ妊孕性(妊娠しやすさ)が低下すると考えられています。つまり、健康な方でも35歳の女性では25歳の女性と比べると妊娠率は半分近くに低下することになります。35歳以上の方は早めに検査や治療を受けることが望ましいといえます。
  
 
加齢とともに妊孕性が低下する原因:
1)
卵子の減少 
2)
染色体異常の卵子が増え、受精しても妊娠に至らない、あるいは妊娠しても流産する確率が高くなる 
3)
子宮筋腫や子宮内膜症などの疾患が増える。
 
不妊の原因

女性が妊娠・出産するメカニズムはとても複雑です。その正常妊娠過程のどこかにトラブルがあると、妊娠することが出来ず、不妊の原因になります。

1) 不妊原因の割合

 
不妊の原因はひとつではありません。ひとりの女性が、複数の不妊の原因を抱えていることも少なくありません。いくつかの不妊の原因が複雑にからみあって、不妊症になっているケースもあります。
一般に女性に不妊の原因がある場合が約
45%、男性にある場合が40%、15%は原因不明であると言われています。
A. 女性の不妊原因
1.排卵障害 20%
2.卵管障害 15%
3.子宮因子 10%

B. 男性の不妊原因 40%
1.精子(造精機能障害、精子輸送路の閉塞)
2.勃起・射精障害

C. 原因不明 15%



2) 女性不妊原因の内容

1.排卵障害 

正常月経周期は、月経開始から14日目頃に正常に排卵が起きた後、妊娠しなければ、排卵の2週間後に月経が来ます。卵子の発育が不十分の場合、排卵が順調に起こらなくなります。これを排卵障害と呼びます。理不順の方や無月経の方は、排卵がうまくおこっていない場合が多いのです。

 原因:

 中枢神経視床下部、下垂体)からのホルモンの分泌に異常があると、排卵がうまく行われません。これを性腺刺激ホルモン分泌障害といい、排卵障害の原因のひとつです。

  * (潜在性)高プロラクチン血症による不妊  妊娠、分娩後乳汁を分泌させるように働きますホルモンであるプロラクチンが、妊娠していないのに分泌されてしまうのが、高プロラクチン血症です。プロラクチンは、生理や排卵を抑制する働きがあり、過剰に分泌されてしまうと、排卵出来ず、不妊の原因になります。

 卵巣の機能が低下して、排卵障害をおこしている場合があります。卵巣のなかにある原始卵胞の数が少ないために排卵がきちんとおこらないのです。
歳をとれば、卵巣の機能は低下しますが、最近では、若い女性にも卵巣機能低下による不妊が増えてきています。

   LUF (Luteinized Unruptured Follicle 黄体化未破裂卵胞)による不妊

卵巣の中で卵胞が成熟しても排卵しないままで黄体になってしまう症状が、黄体化未破裂卵胞(LUF)です。 検査の方法は基礎体温表だけではわかりません。(黄体ホルモンが分泌されるので、低温期と高温期のニ相にきれいに分かれている。) 超音波検査では確認できます。 自然周期の5~10%で認められるが、子宮内膜症や骨盤内感染症、癒着を有する不妊婦人ではさらにこの頻度が高くなります。長期反復症例の治療ではIVE-ET(体外授精)を行います。

  * 多嚢胞性卵巣症候群PCOs)による不妊

卵胞がある程度育っていても、成熟卵胞になりきれずに排卵できない排卵障害が、多嚢胞性卵巣症候群( PCO Polycystic Ovarian Syndrom )です。妊娠しにくく、不妊の原因になってしまいます。

2.卵管障害

卵管が途中でつまっていたり、卵管の先端が癒着して卵子をうまく取り込めなかったりすると、精子が卵子まで進んでくることが出来なかったり、受精卵が子宮まで移動できなかったりします。この卵管の通過障害は不妊の原因の中でも多く、ほかの不妊原因との重複を含めると、不妊原因の30〜40%をしめるといわれています。
検査の方法は子宮卵管造影検査が一般的に行われます。その他通水、通気検査などがあります。

  * 最近特に「クラミジア感染症」による卵管炎癒着、頸管炎よる精子の通過障害、内膜炎よる着床障害の不妊症が注目されています。


3.子宮因子

   ① 子宮の内膜に着床障害 
 
卵管で受精した受精卵は、子宮の内膜に着床して、そこで胎児に成長します。しかし、なんらかの原因で受精卵が子宮内膜に着床できないことがあります。この状態を、子宮の着床障害といいます。 例えば子宮筋腫ポリープが子宮内腔にできていたり、胚児を育てる子宮内膜が充分に環境を整えられないと着床障害となり、不妊原因となります。
 その他、子宮の内膜が厚くなり過ぎたり(内膜増殖症)、薄過ぎたり(内膜菲薄)することで受精卵が着床しにくくなって、不妊の原因になります。
 先天性の子宮奇形(双角子宮や子宮中隔)も不妊や流産の原因となります。

   *黄体機能不全

   *子宮内膜症  (子宮内膜症の絵
 子宮内膜は、本来子宮の内側に存在する粘膜組織です。受精卵が着床し、発育する場所です。妊娠しなかった時は、剥がれて(出血)体外に排出され月経が起きます。 ところが、この子宮内膜と同じような粘膜組織が、子宮内腔外の場所にできることがあります。これを「子宮内膜症」と呼びます。
 子宮内腔外の場所は、例えば卵巣に発生すると出血しても出口がないので、卵巣内で出血して内膜がたまってしまいます。これをチョコレート嚢腫といいます。チョコレート嚢腫をひきおこしてしまうと、卵巣が大きく腫れ、排卵障害をひきおこし、不妊の原因になります。 卵管やその周囲で子宮内膜症による癒着があると、卵管障害にむすびついてしまいます。 子宮筋層に子宮内膜が発生してしまうと、着床障害をおこしやすくなります。
 最近、特に子宮内膜症による不妊症が増えている傾向があります。月経痛や性交痛のある方は要注意です。


B. 男性の不妊原因
1.精子の形成障害
2.精子輸送路の閉塞
3.勃起・射精障害


夫婦生活 性交障害

抗精子抗体


大川産婦人科・高砂  ART 高度生殖補助医療技術 (不妊症)
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